導入
防衛特別法人税って、名前だけ見るとかなり重いですよね。
「防衛」
「特別」
「法人税」
この3つが並んでいる時点で、なんかもう強そうです。
しかも、法人税の申告に関係してくる話なので、経理をやっている人や会社を持っている人からすると、
「また税金増えるの?」
「うちの会社も対象なの?」
「どうやって計算するの?」
「500万円控除って何から引くの?」
となりがちかなぁと思います。
ざっくり言うと、防衛特別法人税は、法人税を課される法人に対して新しく課される税金です。令和7年度税制改正の大綱では、防衛力強化の財源確保のための税制措置として、防衛特別法人税の創設が示されています。
ただし、すべての法人にいきなり大きな税額が出るわけではありません。
ポイントになるのが、年500万円の基礎控除です。
ここで大事なのは、500万円を引く対象が「利益」ではなく、基準法人税額だということです。
ここ、最初に見るとちょっと分かりにくいんですよね。
利益から500万円を引くのか。
法人税額から500万円を引くのか。
課税所得から引くのか。
このあたりがごちゃっとしやすいです。
この記事では、防衛特別法人税の計算方法について、500万円控除と4%課税の具体例を使いながら、なるべく分かりやすく整理していきます。
この記事で分かること
- 防衛特別法人税とは何か
- いつから適用されるのか
- 500万円控除は何から引くのか
- 防衛特別法人税の計算式
- 具体的な金額を使った計算例
- 中小企業やひとり会社で見るときの注意点
防衛特別法人税とは何か
防衛特別法人税は、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として創設される税金です。
対象になるのは、ざっくり言うと、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人です。財務省の令和7年度税制改正の大綱でも、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、防衛特別法人税を納める義務があるとされています。
つまり、法人税の話なので、基本的には法人が対象です。
個人事業主の所得税に直接かかるものではありません。
ただし、会社を持っている人、ひとり会社、法人化しているフリーランス、経理担当者にとっては、今後の法人税申告で見ておきたい話になります。
名前だけ見るとかなり大きな会社向けの話に見えますが、制度上は法人税を課される法人が対象になります。
ただ、あとで説明するように、年500万円の基礎控除があるので、実際に税額が出るかどうかは、基準法人税額の金額によります。
ここがけっこう大事です。
防衛特別法人税は、ざっくり言うと、
基準法人税額から500万円を引いて、残った金額に4%をかける税金
という理解で入ると分かりやすいかなぁと思います。
いつから適用されるのか
防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用される予定です。財務省の大綱でも、防衛特別法人税は令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用するとされています。
ここも地味に大事です。
「令和8年4月1日から始まる」と聞くと、すぐその日から全部の会社に関係しそうに見えるんですが、実務では事業年度の開始日で見ます。
たとえば、3月決算の会社なら、令和8年4月1日開始の事業年度から関係してきます。
一方で、12月決算の会社なら、令和8年1月1日開始の事業年度はまだ対象外で、令和9年1月1日開始の事業年度から関係してくる、という見方になるかなぁと思います。
このあたりは会社の決算月によってタイミングがズレるので、
「いつからうちの会社に関係あるんだっけな?」
となりやすいところです。
経理的には、まず自社の決算月を見て、適用開始の事業年度を確認するのがよさそうです。
防衛特別法人税の計算式
防衛特別法人税の計算は、ざっくり書くとこうです。
防衛特別法人税の計算式
- 基準法人税額 − 基礎控除額500万円 = 課税標準法人税額
- 課税標準法人税額 × 4% = 防衛特別法人税額
財務省の大綱では、防衛特別法人税の額は、課税標準法人税額に4%の税率を乗じて計算するとされています。また、課税標準法人税額は、基準法人税額から基礎控除額を控除した金額とされています。
つまり、流れとしては、
- まず基準法人税額を見る
- そこから500万円を引く
- 残った金額に4%をかける
という感じです。
ここで大事なのは、500万円を引くのは利益からではないということです。
利益が500万円以下なら関係ない、という話ではありません。
500万円控除は、あくまで基準法人税額から引くものです。
なので、たとえば利益が1,000万円ある会社でも、法人税額が500万円を超えなければ、防衛特別法人税は出ない可能性があります。
逆に、利益が大きくて基準法人税額が500万円を超えてくると、その超えた部分に4%がかかる、という見方になります。
ここ、かなり間違えやすいところかなぁと思います。
500万円控除は「利益」ではなく「基準法人税額」から引く
防衛特別法人税で一番ややこしいのは、やっぱりこの500万円控除だと思います。
「500万円控除」と言われると、なんとなく利益から500万円を引くように見えるんですよね。
でも実際には、そうではありません。
引くのは、基準法人税額からです。
ここを間違えやすいです
- 利益から500万円を引くわけではない
- 課税所得から500万円を引くわけでもない
- 基準法人税額から500万円を引くその残りに4%をかける
たとえば、会社の利益が600万円だったとします。
このとき、
「利益600万円 − 500万円 = 100万円」
「100万円に4%で4万円?」
と考えたくなるかもしれません。
でも、これは違います。
防衛特別法人税で見るのは、利益そのものではなく、法人税額側です。
なので、まず法人税を計算して、そのうえで基準法人税額がいくらになるのかを見ます。
そして、その基準法人税額が500万円を超えているかどうかを見る。
この順番です。
経理目線だと、
「500万円控除って言うけど、どこから引くんだっけな?」
となりやすいので、ここはかなり強めに押さえておきたいところです。
基準法人税額とは何か
次に気になるのが、基準法人税額です。
これも名前がちょっと固いです。
ざっくり言うと、防衛特別法人税を計算するためのベースになる法人税額です。
財務省の大綱では、基準法人税額は、一定の税額控除を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額とされています。具体的には、所得税額控除、外国税額控除、分配時調整外国税相当額の控除などを適用しないで計算するものとされています。
ここは実務では、申告書や税務ソフト側で計算される部分になりそうです。
なので、ブログでざっくり理解する段階では、
普通の法人税額そのものと完全に同じとは限らないけど、防衛特別法人税を計算するためのベースになる法人税額
くらいで押さえると入りやすいかなぁと思います。
細かい税額控除がある会社は、単純に納付する法人税額だけを見ればいい、という話ではない可能性があります。
ここは会社ごとの状況で変わるので、実際の申告では税理士さんや税務ソフトの計算を確認したほうが安全です。
実務での注意
この記事では分かりやすくするために、基準法人税額を仮定して計算例を出しています。
実際には、税額控除の有無や申告書上の計算によって変わる可能性があるので、最終的な税額は税理士さんや税務ソフトで確認してください。
具体例1:基準法人税額が300万円の場合
まずは、基準法人税額が300万円の場合です。
例1:基準法人税額300万円
- 基準法人税額:300万円
- 基礎控除額:500万円
- 課税標準法人税額:0円
- 防衛特別法人税:0円
計算式で見ると、こうなります。
300万円 − 500万円 = 0円
0円 × 4% = 0円
基準法人税額が500万円以下なので、防衛特別法人税は出ません。
ここはかなり分かりやすいです。
500万円控除があるので、基準法人税額が500万円以下なら、課税標準法人税額は0円になります。
つまり、防衛特別法人税も0円です。
小規模な会社や、利益がそこまで大きくない会社だと、ここに収まるケースも多いんじゃないかなぁと思います。
ただし、見るのは利益ではなく基準法人税額です。
ここだけは何回も出てきます。
しつこいですが、ここが大事です。
具体例2:基準法人税額が500万円の場合
次に、基準法人税額がちょうど500万円の場合です。
例2:基準法人税額500万円
- 基準法人税額:500万円
- 基礎控除額:500万円
- 課税標準法人税額:0円
- 防衛特別法人税:0円
計算式はこうです。
500万円 − 500万円 = 0円
0円 × 4% = 0円
基準法人税額がちょうど500万円の場合も、防衛特別法人税は0円です。
「500万円を超えた部分」に対して4%がかかるイメージです。
なので、500万円ぴったりなら、まだ課税されません。
ここも実務で聞かれそうですよね。
「基準法人税額が500万円ちょうどならどうなるんだっけな?」
というところですが、控除後が0円なので、防衛特別法人税は0円です。
具体例3:基準法人税額が600万円の場合
次は、基準法人税額が600万円の場合です。
ここから、防衛特別法人税が出ます。
例3:基準法人税額600万円
- 基準法人税額:600万円
- 基礎控除額:500万円
- 課税標準法人税額:100万円
- 税率:4%
- 防衛特別法人税:4万円
計算式はこうです。
600万円 − 500万円 = 100万円
100万円 × 4% = 4万円
基準法人税額が600万円の場合、防衛特別法人税は4万円です。
こう見ると、基準法人税額が500万円を少し超えたからといって、いきなり大きな金額になるわけではありません。
超えた部分に4%です。
ただ、税金が増えることには変わりないので、決算見込みを作るときには見落としたくないところです。
「法人税はだいたいこれくらいかな」
「地方法人税もこれくらいかな」
「法人住民税と事業税も見ておくか」
となったあとに、
「あ、防衛特別法人税もあるんだっけな」
となる可能性があります。
税金の種類、ほんと増えますよね。
具体例4:基準法人税額が1,000万円の場合
次は、基準法人税額が1,000万円の場合です。
例4:基準法人税額1,000万円
- 基準法人税額:1,000万円
- 基礎控除額:500万円
- 課税標準法人税額:500万円
- 税率:4%
- 防衛特別法人税:20万円
計算式はこうです。
1,000万円 − 500万円 = 500万円
500万円 × 4% = 20万円
基準法人税額が1,000万円になると、防衛特別法人税は20万円です。
20万円となると、さすがに無視できない金額になってきます。
法人税や法人住民税、事業税などと合わせて資金繰りを見ている会社だと、
「納税資金、思ったより出るな」
となるかもしれません。
決算が終わってから慌てるより、月次や決算見込みの段階でざっくり見ておくほうが安心かなぁと思います。
具体例5:基準法人税額が3,000万円の場合
最後に、基準法人税額が3,000万円の場合です。
例5:基準法人税額3,000万円
- 基準法人税額:3,000万円
- 基礎控除額:500万円
- 課税標準法人税額:2,500万円
- 税率:4%
- 防衛特別法人税:100万円
計算式はこうです。
3,000万円 − 500万円 = 2,500万円
2,500万円 × 4% = 100万円
このくらいになると、防衛特別法人税だけで100万円です。
もう普通に大きいです。
税率だけ見ると4%なので、
「そんなに大きくないのかな?」
と思いがちですが、基準法人税額が大きい会社では、それなりに効いてきます。
税金って、パーセンテージだけ見ると軽そうに見えても、金額にすると急に現実感が出ますよね。
100万円って出ると、急に真顔になります。
計算例まとめ
ここまでの例をまとめると、こんな感じです。
/
防衛特別法人税の計算例
- 基準法人税額300万円:防衛特別法人税0円
- 基準法人税額500万円:防衛特別法人税0円
- 基準法人税額600万円:防衛特別法人税4万円
- 基準法人税額1,000万円:防衛特別法人税20万円
- 基準法人税額3,000万円:防衛特別法人税100万円
考え方としてはシンプルです。
基準法人税額が500万円を超えたら、その超えた部分に4%
これです。
逆に言うと、基準法人税額が500万円以下なら、防衛特別法人税は基本的に出ません。
ただし、繰り返しになりますが、ここで見るのは利益ではなく基準法人税額です。
ここを利益と勘違いすると、だいぶ見方が変わってしまいます。
中小企業やひとり会社に影響はあるのか
中小企業やひとり会社の場合、まず見るべきなのは、
自社の基準法人税額が500万円を超えるかどうか
です。
利益が少ない会社や、法人税額が500万円以下の会社であれば、防衛特別法人税の税額は出ない可能性があります。
なので、すべての中小企業にいきなり大きな負担が発生する、という感じではなさそうです。
ただし、利益がしっかり出ていて、法人税額が500万円を超えてくる会社は、追加で防衛特別法人税を見込む必要があります。
ここで気をつけたいのは、
「うちは中小企業だから関係ないでしょ」
と決めつけないことです。
中小企業でも、利益が大きければ基準法人税額が500万円を超えることはあります。
逆に、売上が大きくても利益が薄く、法人税額が500万円以下なら、防衛特別法人税は出ない可能性があります。
結局見るべきなのは、会社の規模感というより、基準法人税額がいくらかなんですよね。
決算見込みではどう見るとよいか
経理実務で考えるなら、決算が近づいたタイミングで、防衛特別法人税もざっくり見込みに入れておくのがよさそうです。
特に、利益が大きく出そうな会社は、
「法人税等の見込み、これで合ってるかな?」
という確認のときに、防衛特別法人税を忘れないようにしたいところです。
見方としては、まずざっくりでいいので、
- 当期利益の見込み
- 課税所得の見込み
- 法人税額の見込み
- 基準法人税額が500万円を超えるか
- 超えた部分に4%をかけるといくらか
この順番で見ると、入りやすいかなぁと思います。
もちろん、最終的な税額は税理士さんや税務ソフトの計算で確認する必要があります。
ただ、経理側でもざっくり感を持っておくと、
「納税資金、思ったより必要かも」
「決算見込みに入れておいたほうがよさそう」
「税理士さんに確認しておこう」
という判断がしやすくなります。
申告期限と納期限はどうなるのか
防衛特別法人税の申告期限と納期限は、各事業年度の所得に対する法人税の申告期限・納期限と同じとされています。
つまり、法人税の申告と一緒に見ていくイメージです。
また、中間申告についても規定があります。財務省の大綱では、法人税の中間申告書を提出すべき法人は、防衛特別法人税の中間申告書も提出する必要があるとされ、その中間申告書の提出は令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用するとされています。
ここは実務的にはけっこう大事です。
最初は確定申告だけ気にしていても、一定のタイミングから中間申告も関係してくる可能性があります。
経理としては、
「確定申告だけ見ればいいんだっけな?」
「中間申告も必要になるんだっけ?」
「いつ開始事業年度からだったっけ?」
となりやすいところです。
このあたりは税務ソフトや税理士さんが対応してくれる部分も多いと思いますが、経理側でも制度の存在は知っておいたほうが安心です。
防衛特別法人税で間違えやすいポイント
最後に、間違えやすいポイントを整理しておきます。
間違えやすいところ
- 500万円控除は利益から引くわけではない
- 500万円控除は基準法人税額から引く
- 税率4%は基準法人税額全体にかけるわけではない
- 500万円を超えた部分に4%をかける
- 適用開始は令和8年4月1日以後に開始する事業年度
- 申告期限・納期限は法人税と同じ
- 中間申告も今後関係してくる可能性がある
特に大事なのは、やっぱりこの2つです。
500万円控除は基準法人税額から引く
税率4%は500万円を超えた部分にかける
この2つを押さえておけば、大枠はかなり理解しやすくなると思います。
逆にここを間違えると、
「利益から500万円引けばいいの?」
「法人税額全部に4%かけるの?」
「500万円以下の利益なら関係ないの?」
みたいに、計算が迷子になりがちです。
税金の話って、言葉が似ていて本当にややこしいです。
利益。
所得。
課税所得。
法人税額。
基準法人税額。
課税標準法人税額。
このへん、普通に読むだけでちょっと疲れます。
なので、まずは細かい用語を全部完璧に覚えるより、
基準法人税額 − 500万円 × 4%
という流れで押さえるのがよさそうです。
正確には、
(基準法人税額 − 500万円)× 4%
ですね。
かっこ大事です。
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まとめ|防衛特別法人税は「500万円を超えた基準法人税額」に4%
防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用される税金です。
計算方法は、かなりざっくり言うと、
基準法人税額から500万円を引いて、残った金額に4%をかける
という形です。
ここで大事なのは、500万円控除を引く対象です。
利益から引くわけではありません。
課税所得から引くわけでもありません。
基準法人税額から引きます。
なので、基準法人税額が500万円以下なら、防衛特別法人税は0円になります。
一方で、基準法人税額が600万円なら4万円。
1,000万円なら20万円。
3,000万円なら100万円。
このように、基準法人税額が大きくなるほど、防衛特別法人税の金額も増えていきます。
税率だけ見ると4%なので小さく見えるかもしれません。
でも、税額として出してみると、
「あ、普通に納税資金に入れておかないといけないやつだな」
となる会社もあると思います。
経理としては、決算見込みを作るときに、
「防衛特別法人税も見ないといけなかったんだっけな?」
と思い出せるようにしておくと安心です。
税金は、忘れていてもだいたい後からちゃんと来ます。
なので、早めに知っておく。
ざっくり計算しておく。
必要なら税理士さんに確認しておく。
このくらいの準備をしておくと、決算前後で慌てにくくなるかなぁと思います。
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